資産運用で純金上場信託に投資するメリットとデメリット

ビジネスコラム

資産運用の手段として、NISAなどの制度を利用して純金上場信託(ETF)に投資することには多くのメリットとデメリットがあります。

また、人気の米国株や全世界株式への投資と比較すると、それぞれの特性やリスク・リターンの違いが明確になります。

ここでは、純金上場信託への投資について、詳細に解説し、他の投資手段との比較を通じて、その特徴を浮き彫りにしていきます。

純金上場信託とは?

まず、純金上場信託(ETF)について簡単に説明します。純金上場信託は、純金の価格に連動するように設計されたETFの一種です。投資家はこのETFを通じて、実際に金を購入・保有するのと同様の効果を得ることができます。純金上場信託は、物理的な金の保有に比べて、取引の手間や保管コストを省くことができるため、多くの投資家にとって魅力的な選択肢となっています。

純金上場信託に投資するメリット

1. インフレーションヘッジ

金は歴史的にインフレーションヘッジとしての役割を果たしてきました。インフレが進行すると、紙幣の価値が下がる一方で、金の価値は上昇する傾向があります。これにより、金を保有することで、インフレに対する防御策となります。

2. 安全資産としての特性

金は「安全資産」として広く認識されています。経済危機や金融市場の不安定な時期には、投資家は安全を求めて金に資金を移すことが多いため、金の価格は上昇する傾向があります。これは、純金上場信託に投資することで、ポートフォリオ全体のリスクを分散する手段となります。

3. ポートフォリオの分散効果

金は他の資産クラス(例えば、株式や債券)とは異なる動きをすることが多いため、ポートフォリオに金を組み込むことで、全体のリスクを分散する効果が期待できます。これにより、特定の市場ショックに対する耐性が高まります。

4. 流動性の確保

純金上場信託は、株式と同様に証券取引所で取引されるため、高い流動性を持っています。これは、必要な時に容易に現金化できるという利点を提供します。

5. 保管の手間が不要

物理的な金の保有には保管コストやセキュリティの問題が伴いますが、純金上場信託ではこれらの手間が省けます。ETFの形式であれば、証券口座内での管理が可能です。

▼金鉱株ETFの推移

純金上場信託に投資するデメリット

1. キャピタルゲインの低さ

金そのものは配当や利息を生まないため、金の価格上昇によるキャピタルゲインのみが利益の源泉となります。そのため、株式や債券と比較して、長期的なリターンは低くなる傾向があります。

2. ボラティリティ

金の価格は政治的、経済的な不確実性に影響されやすく、時には大きな価格変動が生じることがあります。これは、短期的には大きなリスクとなり得ます。

3. コスト

純金上場信託には信託報酬などの運用コストが発生します。物理的な金の保有に比べると低コストではありますが、それでも投資コストとして無視できない要素です。

4. 成長性の欠如

金は生産性の向上や経済成長と直接的な関係がないため、他の成長性のある資産(例えば、株式)に比べてリターンの源泉が限られています。

5. 配当や利息がない

金そのものは配当や利息を生まないため、投資家は価格上昇によるキャピタルゲインのみに頼ることになります。これに対し、株式や債券は定期的なインカムを提供します。

米国株や全世界株式への投資との比較

▼S&P500の推移

成長性の比較

米国株や全世界株式は、企業の成長や経済の拡大に伴い、長期的に高いリターンを提供することが期待されます。これに対し、金は基本的に価値の保存手段としての役割が強いため、成長性の面では大きな差があります。

配当やインカムの提供

米国株や全世界株式への投資は、配当や利息という形で定期的なインカムを提供します。これにより、長期的な資産形成において再投資の効果を享受することができます。一方、金はこうしたインカムを提供しないため、再投資効果は得られません。

リスク分散の観点

米国株や全世界株式は、経済成長に伴うリターンを狙う一方で、金は市場の混乱時に安全資産として機能します。そのため、これらの資産クラスを組み合わせることで、ポートフォリオ全体のリスク分散効果を高めることができます。

市場の影響

米国株や全世界株式は、企業業績や経済指標、金利動向など、さまざまな経済的要因の影響を受けます。一方、金は主に経済の不確実性やインフレ、地政学的リスクの影響を受けるため、異なる市場要因に対する反応が異なります。

結論:どちらを選ぶべきか?

純金上場信託と米国株や全世界株式は、それぞれ異なる特性とリスク・リターンのプロファイルを持っています。どちらを選ぶべきかは、投資家のリスク許容度、投資目的、投資期間に依存します。

純金上場信託を選ぶべき投資家

  • インフレヘッジを重視する人: 金はインフレに対する防御策として機能します。
  • 市場の不確実性に対する防御策を求める人: 経済危機や市場の混乱時に安全資産として機能します。
  • ポートフォリオのリスク分散を図りたい人: 他の資産クラスとは異なる動きをするため、リスク分散に効果的です。

米国株や全世界株式を選ぶべき投資家

  • 高い成長性を求める人: 長期的に高いリターンが期待されます。
  • 定期的なインカムを重視する人: 配当や利息を通じて、定期的な収益を得ることができます。
  • 経済成長に伴うリターンを狙う人: 企業業績や経済成長に直接関与するため、高い成長性が期待できます。

最終的に、どちらを選ぶかは個々の投資家の目標や状況に応じて異なります。どちらの資産クラスも、それぞれのメリットを最大限に活かすためには、適切な投資戦略とバランスの取れたポートフォリオが重要です。

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